2018/01/22

早く生まれた赤ちゃんが受けたいシナジス注射の自己負担額

1.シナジス注射とは?

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(1)シナジスとは?

シナジスとは、「パリビズマブ」というRSウイルスの感染予防に用いられる抗体であり、米国のMedImmue社の商品名です。

予定日より早く生まれた赤ちゃん(早産児)や先天性の新疾患を持っている赤ちゃんは、RSウイルス感染後の危険性が高いとされ、投与が推奨されています。

(2)RSウィルスとは?

「RSウィルス」は、RSウィルス感染症を引き起こすウィルスです。

RSウィルス感染症は、乳幼児期に重症化しやすく、肺炎や細気管支炎を引き起こすため、非常に気を付けなければいけない感染症です。

RSウィルス感染症が、乳幼児期の肺炎の約50%、細気管支炎の約50~90%の原因を占めるとの報告があります。

母体からの抗体では感染が防げません。そのため、いわゆる、「6か月まではママからもらった免疫がある」と言ったりしますが、生後まもまくからします。

2.シナジス注射を保険適用で受けられるお子さんは?

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①~④の条件に当てはまるお子さんは、保険適用でシナジス注射が受けられます。

①早産児(予定日より早く生まれたお子さん)

1.在胎週数(ママのおなかの中にいた期間)が28週以下、すなわち、妊娠週数28週以下で生まれた赤ちゃんで、RSウイルスの流行開始時に12か月以下の赤ちゃん

2.在胎週数29~35週、すなわち、妊娠週数29~35週で生まれた赤ちゃんで、RSウイルスの流行開始時に6か月以下の赤ちゃん

②慢性肺疾患を持つお子さん

過去6か月以内に気管支肺異形成症などの呼吸器疾患の治療を受けたことがあり、RSウィルスの流行開始時に24か月齢以下のお子さん

③先天性心疾患を持つ赤ちゃんやお子さん

RSウィルスの流行開始時に24か月齢以下で、先天性心疾患を持ち、血行動態(心臓や血流)に異常があるお子さん

④上の①~③に当てはまらないダウン症候群のお子さん

この項目は、2013年8月20日厚生労働省で追加承認されました。

上の①~③に当てはまらなくても次のⅰ~ⅲのうちのいずれかの項目に当てはまるダウン症候群の24か月以下のお子さん

  1. 顕著な巨舌、舌根沈下、気道軟化症などによる気道狭窄および合併する無呼吸、肺高血圧、肺低形成・異形成、肺気腫様変化がある。
  2. ウィルス感染症や呼吸器感染症による入院の経験がある。
  3. リンパ球の減少あるいはT細胞の減少がある。

3.シナジス注射の接種スケジュールと費用

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(1)シナジス注射の接種スケジュール

シナジス注射の効果は、約1か月の間しか持続しません。

そのため、RSウィルスが流行している期間(おおよそ10月~4月まで)は、月に1回シナジス注射を受けに行かなければなりません。

(2)シナジス注射の費用と健康保険・マル乳との関係

上の①~④の条件にあてはまるお子さんに対するシナジス注射の費用は、健康保険が適用され、さらに、乳幼児医療費助成制度の対象となります。

乳幼児医療費助成制度の所得制限のない区市町村にお住まいの方は、シナジス注射代に対する自己負担額はほぼありません。

しかし、乳幼児医療費助成制度の所得制限のある区市町村にお住まいの方で、所得制限の上限にひっかかった方は、シナジス注射代の2割分(健康保険でカバーされない部分)は、自己負担になります。

乳幼児医療費助成制度の所得制限については、お住まいの地域の区役所、市役所、町役場等にご確認下さい。

(3)シナジス注射の費用はお子さんの体重で決まる

シナジス注射は、赤ちゃん(お子さん)の体重1kgあたり、15mg投与しなければなりません。

そのため、生まれてまもなくの赤ちゃんが体重3㎏だとすると45mgの投与、体重が8kgくらいになると120mgの投与が必要になります。

シナジス注射は、50mg単位で販売されており、50mgで約8万円です。

体重が3kgの赤ちゃんの場合には、シナジス注射の注射代は、約8万円

体重が8kgになると、シナジス注射の注射代は、約24万円

このように、シナジス注射の費用は、お子さんの体重で変わってきます。

(4)マル乳が使えない場合のシナジス注射の費用

所得制限にひっかかり乳幼児医療費助成制度が使えない場合、シナジス注射の費用の2割は、自己負担になります。

体重3kgの赤ちゃんの場合は、1回約16000円分を自己負担。

体重8kgになると、1回約48000円を自己負担しなければなりません。

さらに、シナジス注射は、RSウイルスの流行時期の4か月の間、毎月受けにいかなければなりません。

乳幼児医療費助成制度を受けられない場合、健康保険でカバーされないシナジス注射の費用の2割分を、4回、自己負担で支払わなければなりません。

体重3kgの赤ちゃんの場合であれば、1回約16000円分×4回=約84000円

体重8kgの赤ちゃんの場合であれば、1回約48000円分×4回=約192000円

非常に高い金額です。

たとえ、所得制限にひっかかるくらいの所得があっとしても、1シーズンにこの金額を支払うことは、容易なことではありませんよね。

しかも、もし、双子や三つ子だったら、もう支払えなくて当然といった額です・・・。

5.シナジス注射代の自己負担額は医療費控除の対象

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マル乳制度が使えない方のシナジス注射の自己負担額は、医療費控除の対象となります。

家族全員分の年間の医療費が10万円を超える場合(その年の総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超える場合には、確定申告をして還付金を受け取りましょう。

妊娠・出産関連で、医療費控除の対象になるものをまとめたこちらの記事もご覧ください。

妊娠・出産・赤ちゃんの入院で医療費控除の対象になるもの

6.接種開始時期が保険適用時期に該当すれば1シーズン保険適用可

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シナジス注射を保険適用で受けられるお子さんは、上の①~④の条件にあてはまるお子さんです。

上の①~④の条件では、お子さんがシナジス注射を接種する時期を限定しています。

RSウイルスの流行開始時期に上の①~④の条件の月齢(年齢)である場合には、シーズンの途中で対象月齢から外れる場合でも、ほとんどの病院でシーズンの終わりまでは健康保険適用でシナジス注射を受けられます。

例えば、妊娠30週で生まれたお子さんがRSウイルスの流行開始時期の11月に生後5か月(上の①の2の条件)の場合、3回目の投与(1月の投与)では、生後7か月になるため、保険適用ではなくなるとお思いのママも多いと思います。

しかし、実際、シーズンの終わりの投与までは、保険適用で受けられると思います。

この点で、シナジス注射を迷われている方は、病院に相談してみてくださいね!

自己負担となると非常に負担の大きいシナジス注射

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シナジス注射は、費用が非常に高いです。

流行開始時期が健康保険適用の月齢からギリギリ外れてしまった場合、ほとんどのママは、全額自己負担になるので、その費用の高さから当然あきらめざるをえません。

実は、病院に相談すると、投与開始時期を1ケ月早めると、健康保険適用の月齢に入る場合には、投与開始時期を1ケ月早めてくれる病院もあります。

一度病院に相談してみることも大切です。

どうしても健康保険適用の月齢に入らない場合には、RSウイルス感染の予防や風邪をひいたら即医療機関を受診する等の処置をとることで、RSウイルスの重症化は防げます

高額なシナジス注射の全額負担は、一般的な家庭では現実的に支払える額ではないと思います。

早く生んでしまったことやお金のことで自分を責めたりせずに、赤ちゃんの様子を毎日見守ってあげて下さい

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