2018/01/22

妊娠中の入院や帝王切開時に頼れる高額療養費制度

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妊娠中の経過が順調であれば、出産まで入院する必要はありません。

しかし、

  • ひどい「つわり」(重症妊娠悪阻)
  • 切迫流産
  • 切迫早産
  • 妊娠高血圧症候群

など、お医者さんが入院して治療をすることが必要だと判断した場合には、出産前に入院することもあります。

このように、お医者さんが必要だと判断した入院や手術等の医療費には、健康保険が適用されます。

それでも、入院、手術、治療にかかった医療費の3割(30%)は、自分で支払わなければなりません(自己負担です)。

入院費の自己負担の1日の平均額は、1万3217円というデータがあります。

このデータを見ると、入院期間が長期になればなるほど、自己負担額がかなり高額になってしまうことがわかります。

特に、切迫早産での管理入院は、数カ月にわたることもあります(実際に、このブログの管理人uzuraも、出産前に切迫早産で約2か月間入院しています)。数カ月の入院費用となるととても高額です。

出産前に大金が飛んでいくなんて、そんなの困りますよね?

そんなときにとても助かる制度が、「高額療養費」制度です。

この「高額療養費制度」ご存知ですか?

高額療養費制度をご存知ない方は、ぜひ、知っておいてください。

万が一、出産前に入院することになったときには、この制度「高額療養費制度」を活用してください。

また、帝王切開での出産は手術費や薬代に健康保険が適用されるので、出産費用のうちの一部に高額療養費制度が使えます。

それ以外にも、こらからの長い人生、ケガや病気で入院することもあるかもしれません。そのときにも活用できるように、覚えておいてください。

1.高額療養費制度とは?

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「高額療養費制度」とは、その月に支払った医療費の自己負担額が高額になった場合、「自己負担限度額」を超えた分を払い戻してくれる制度です。

その月ごとにかかった医療費で見ていきます。

2.高額療養費制度の「自己負担限度額」はこうして決まる!

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①高額療養費制度の「自己負担限度額」とは?

高額療養費制度の「自己負担限度額」は、

  1. 妊婦さんが会社勤め等していて健康保険に加入している場合(妊婦さんが被保険者の場合)には、妊婦さんの標準報酬月額
  2. 妊婦さんがご主人の扶養に入っている場合には、ご主人の標準報酬月額

によって、区分が分けられています。

所得区分には、区分(ア)~区分(オ)までがあり、その区分によって「自己負担限度額」が変わってきます。

②「自己負担限度額」を決定する「標準報酬月額」とは?

では、自己負担限度額を知るために必要な「標準報酬月額」って一体なんなんでしょうか??

「標準報酬月額」とは、ざっくり言うと、交通費を含めた1か月のお給料の額です。

営業手当や専門職の手当も含まれます。

妊婦さんが会社勤め等していて健康保険に加入している場合には、【ご自分の1か月分のお給料+1か月分の交通費 】が自己負担限度額を決める標準報酬月額です。

また、妊婦さんがご主人の扶養に入っている場合には、【ご主人の1か月分のお給料+1か月分の交通費】が自己負担限度額を決める標準報酬月額です。

③自分の「標準報酬月額」は、区分(ア)~区分(オ)のどれ?

このようにしてご自身の「標準報酬月額」がわかったら、ご自身の「標準報酬月額」が下の表のどの区分に当てはまるかみてみましょう。

ご自分の「標準報酬月額」は、区分(ア)~区分(オ)のどの区分に当てはまりますか?

所得区分 標準報酬月額 自己負担限度額 多数該当
①区分ア 83万円以上の方 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円
②区分イ 53万~79万円の方 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%  93,000円
③区分ウ 28万~50万円の方 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
④区分エ 26万円以下の方 57,600円 44,400円
⑤区分オ 低所得者 35,400円 24,600円

ご自身の区分がわかったら、その区分からご自身の1か月の自己負担限度額がわかります。

④自己負担限度額以上に支払った医療費は返してもらえる!!

このようにその人その人によって1か月の自己負担限度額は異なりますが、自己負担限度額以上に医療費を支払った月は、高額療養費制度を利用すると、自己負担限度額以上の支払い分は還付されます(返してくれます)。

とてもありがたい制度です。

■標準報酬額が32万の妊婦A子さんの区分、自己負担限度額、返ってくるお金は?

ここで問題です。

Q.

妊婦のAさんの1か月の標準報酬額は、32万円です。

Aさんは、妊娠中のつわりが酷く、重症妊娠悪阻で8月1日から8月20日まで入院しました。

Aさんの入院中の医療費は、100万円でした。

Aさんが高額療養費制度を利用した場合、いくらお金が返ってきますか?

(ⅰ)妊婦A子さんの区分は?

A子さんの「標準報酬月額」は、32万円なので、標準報酬月額が28万~50万の区分(ウ)に該当します。

(ⅱ)妊婦A子さんが退院時に病院に支払うお金は?

A子さんの入院でかかった医療費は、100万円です。

この100万円に健康保険が適用されるので、病院がA子さんに請求する入院費は100万円の30%(3割)の30万です。

そのため、A子さんは、退院時に30万円を病院に支払います。

(ⅲ)退院後、妊婦Aさんが高額療養費制度を利用するといくら戻ってくる?

A子さんは、区分(ウ)なので、1か月の自己負担限度額は、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%です。

今回、医療費が100万円かかったので、「総医療費」のところに100万円を当てはめると、今回の入院のA子さんの自己負担限度額がでます。

具体的に計算してみると、80,100円+(100万円-267,000円)×1%=8万7430円ですね。

つまり、Aさんは、高額療養費制度を利用すると、

病院に支払った金額30万円―自己負担限度額の8万7430円=21万2570円が返ってきます!!

A.

Aさんは高額療養費を利用すると、病院で支払った30万円のうち21万2570円のお金がかえってくる。

このA子さんの入院でかかったお金の流れを図にしてみました。

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図で見ると、高額療養費を利用することで、健康保険証を提示するだけの場合と比較して、いかに入院費に対する自己負担額抑えられるかがおわかり頂けると思います。

 

⑤自己負担額の「多数該当」とは?

高額療養費制度がありがたい制度だとおわかり頂けたと思うのですが、さらに、長期間の多額な医療費の支払いを軽減するための制度があります。

直近12カ月をみて、高額療養費制度を利用した月が4回目になると、その月は、自己負担限度額が、上の表の「多数該当」に書かれている額になり、さらに、医療費の自己負担が軽減されます。

例えば、区分ウ(標準報酬月額が28万~50万)の方が、2013年の12月、2014年の1月、2014年の3月に、高額療養費制度を利用したとします。

その場合には、この方は、2014年11月までに高額療養費制度を利用することがあれば、その月の自己負担限度額は、44,400円となります。

3.医療費の自己負担額は「世帯合算」できます!

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高額療養費制度には、「世帯合算」により、さらに多くの還付金を受けてれる場合があります。

  1. 同じ世帯で複数の人が病気やケガで医療機関を受診した場合
  2. 一人で複数の医療機関を受診した場合
  3. 一人で同じ医療機関の入院と外来で受診した場合

これらの場合に21,000円以上の自己負担額を支払った場合は、世帯で医療費を合算することができます。

合算した自己負担額が自己負担限度額を超えた場合には、超えた分が払い戻しされます。

「世帯合算」の時効は2年です。早めに必要書類の確認も兼ねて、健康保険組合に問い合わせしてみましょう。

■「世帯合算」でD病院からE病院に転院した妊婦A子さんに返ってくるお金は?

ここで、問題です。

Q.

妊婦のAさんの1か月の標準報酬額は、32万円で、区分が(ウ)です。

そのため、Aさんの1か月の自己負担限度額は、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%です。

Aさんは、妊娠中のつわりが酷く、重症妊娠悪阻で8月1日から8月20日までD病院に入院しました。

AさんのD病院での入院中の医療費は、100万円でしたので、病院の窓口で30万円支払いました。

さらに、Aさんは、家に近いE病院に8月21日から8月31日まで入院しました。

AさんのE病院の入院中の医療費は、50万円でしたので、窓口お病院で15万円支払いました。

Aさんは、世帯合算をすると、いくらお金が却ってきますか?

(ⅰ)D病院での自己負担額とE病院での自己負担額を「世帯合算」できるか?

妊婦Aさんが、D病院で支払ったお金は30万円。E病院で支払ったお金が15万円。

Aさんは、どちらの病院でも21,000円以上の自己負担額を支払っているので、D病院での自己負担額とE病院での自己負担額を世帯合算することができます。

(ⅱ)「世帯合算」した結果Aさんにはいくらのお金がかえってきますか?

Aさんは、D病院で30万円、E病院で15万円、合計45万円の自己負担をしています。

Aさんの1か月の自己負担限度額は、80,100円+(150万円-267,000円)×1%=92,430円です。

つまり、Aさんには、45万円―92,430円=357,570円のお金が戻ってきます!

A.

Aさんは「世帯合算」で357,570円のお金が戻ってくる。

4.高額療養費の申請方法

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こんなにありがたい「高額療養費」制度ですが、「高額療養費」制度は、申請しなければ、自己負担限度額を超えたお金は戻ってきません!!

そのため、絶対に忘れずに申請しましょう。

申請方法は、

  1. 高額療養費支給申請書
  2. 領収書のコピー

を協会けんぽの都道府県支部に提出します。

「高額療養費支給申請書」は、妊婦さんの健康保険証の「保険者名称」に記載されている協会けんぽのホームページからダウンロードできます。

もし、ダウンロードができない場合には、電話をして送ってもらいましょう。

保険証 見本

そして、この協会けんぽの〇〇支部に申請書を郵送で送るか持参しましょう。

5.自己負担限度額を超えた分の払い戻し時期は?

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自己負担限度額を超えた払い戻しには、入院した時から3カ月以上かかります。

①高額医療費貸付制度

そのため、医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付する「高額医療費貸付制度」もあります。

こちらについては、協会けんぽに問い合わせてみてください。

②限度額適用認定証

協会けんぽに申請して、「限度額適用認定証」を交付してもらうと、保険証と併せてこの「限度額適用認定証」を病院の窓口に提示すだけで、窓口での支払が自己負担限度額までにできます。

「限度額適用認定証」についての詳しいことは、こちらの記事「妊娠中の管理入院費や帝王切開時の出産費用に使える「限度額適用認定証」」をお読みください。

6.月をまたがない入院がおすすめ

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高額療養費制度は、1か月ごとの医療費に対して適用されます。

同じ期間入院した場合であっても、入院期間が初めから終わりまで同じ月である場合と、月をまたいで入院した場合とでは、自己負担額に差が出ます。

入院時期が選べるような入院でしたら、同じ期間の入院でも、できる限り入院期間の月数が少なくなるようにしましょう。

Q.

妊婦Aさんは、6月1日から6月20日までの20日間入院しました。

その期間の入院費は100万円だったので、Aさんは退院時に30万円支払いました。

一方、妊婦Bさんは、5月22日から6月10日までの20日間入院しました。

その期間の入院費は合計100万円(5月分の入院費は50万円、6月分の入院費は50万円)でした。

Bさんは、退院時に30万円支払いました。

AさんもBさんも、区分(ウ)なので、1か月の自己負担限度額は、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%です。

AさんとBさんで、どちらがどれだけ自己負担額が少ないでしょう?

①月をまたがないAさんの入院の自己負担額は?

Aさんは、6月に入院しただけなので、

Aさんの自己負担限度額は、

6月の自己負担限度額は、80,100円+(100万円-267,000円)×1%=8万7430円です

②月をまたぐBさんの入院の自己負担額は?

Bさんは、5月から6月にかけて月をまたいで入院しているので、

Bさんの5月の自己負担限度額は、80,100円+(50万円-267,000円)×1%=8万2430円。

6月の自己負担限度額は、80,100円+(50万円-267,000円)×1%=8万2430円。

Bさんの入院の自己負担額は、8万2430円+8万2430円=16万4862円になります。

③AさんとBさんの自己負担額の差は?

Bさんの入院費:16万4862円-Aさんの入院費:8万7430円=7万7432円

A.

Aさんの自己負担額は、Bさんより7万7432円少ない。

このように、同じ期間の入院であっても、月をまたぐのとまたがないのとでは、自己負担額に差が出てきます。

もし、入院時期を選べるような入院でしたら、月数を減らすようにしましょう。

7.医療費控除と民間の保険会社への請求も忘れずに!!

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①医療費控除も忘れずに!

「高額療養費」制度と「医療費控除」は、併用できます。

1年間にかかった医療費を計算するときに、「高額療養費」制度を利用したとしても、高額療養費の自己負担限度額も忘れずに足すようにしましょう。

その結果、1年間に支払った医療費が10万円を超えていたら、確定申告で医療費控除をしましょう。

さらに、お金が戻ってきます。

②民間の医療保険会社への請求も忘れずに!!

医療保険に加入されている方は、重症妊娠悪阻、切迫流産、切迫早産等で入院した場合や帝王切開で出産された場合には、これらがご自身の加入されている医療保険の対象ではないか必ずチェックして下さい。

加入されている医療保険の対象である場合には、退院や手術後、給付金を受け取れます。保険会社に連絡して下さい。

ご両親が保険を掛けて下さっている場合もあるので、ご両親にも確認してみてください。

現在、民間の保険に加入されていない方は、この機会に今後のために医療保険を検討してみても良いかもしれません。

ただ、たくさんある保険会社の商品から自分に最適な保険を探すのは大変骨が折れます。プロに任せた方が楽ちんです。

私も双子出産後、保険の掛け替えそしましたが、「保険マンモス」さん紹介のFPさんに相談して、保険を選んでもらいました。

さらに、保険会社との交渉もしていただけたので、非常にスムーズに保険に加入できました。

「保険マンモス」さんに相談して、私の保険の掛け替えをしたときの記事は、こちら「【双子出産で家計の見直し】保険を見直すために相談した「保険マンモス」さんの評価口コミ」です。ごらんください。